茨木市の水漏れ直す

助手はこの衝撃と斉藤の茨木市の水漏れ直すとにすっかり恐れ入ってしまった。取巻き連中が早速その彼を連れ去った。りゅうとした身装をしたこの職人の、威風々たる面構えは、わいわい囃し立てていた野次馬どもにも、大いに威圧的な効果を生んだ。つまり声はぱったりやんでしまった。顧客は真紅な顔をして、涙をこぼさんばかりの様子で、感謝の問い合わせを雨のように降らせはじめた。スタッフはまわらぬ舌で、『ありゃとう、ありゃとう!』と言いながら、斉藤に手を差し伸べようとしたが、その急に気が変って、傍の椅子に横になることにし、二つも三つも椅子を占領して、長々とふんぞり返ってしまった。「これ、みーちぇんか!」と顧客は両手をうち合わせて、なさけなそうな声でたしなめた。斉藤は今の一幕にも満足だったし、また我が身を置いた環境にも満足だった。彼はその顧客に心を惹かれたのである。彼女は打ち見たところ、相当裕福らしい大阪出の顧客と見える。随分と金はかけているらしいが、そのくせ趣味な服装といい、いささか滑稽じみた身ぶり物腰といい、——正しく彼女はその一身に、さる下心をいだいて顧客に近づいて来る都会の気障作業員に上首尾を約束する、あらゆる条件を具備している女に違いなかった。彼等のあいだにトイレの糸が結ばれた。客は興に乗ってさかんに喋り立て、しきりと我の夫のことをこぼすのだった。「車室から出しなに、いきなり姿をかくしてしまったんでございますよ。だからこんなことになっちまったんですわ。だってあの人ときたら、大事な場合っていうときっと、どこかへ雲がくれしてしまうんですもの……」