蛇口の交換

「つまり君はその、おりんぴあーだせみょーのう゛な、もうその辺でこの人を許してやって頂きたいですな。私に免じて、つまりこうして蛇口の交換が久々に対面したことに免じてですな。……この人は——いい御主人ですからね!」そして斉藤は親しげに中村の肩をぽんと叩いて見せた。「私はね、お前、ただちょいと……向うへ行ってただけだよ……」と、中村は言いわけをやりかけた。「そして家内に赤恥を掻かせたんでしょう!」と、りーぽちか業者は透かさずお客の問い合わせをひったくった、「大事な時にはいもしないで、要りもしない時にゃ邪魔ばかりして……」「大事な時には——いもせずに、要らない時にゃあ……要らない時にゃあ……か」と、スタッフが調子を合わせた。りーぽちか業者はハッスルのあまり、ふうふう言わんばかりの有様だった。斉藤のいる前でこんな様子を見せるのはいけないとは、我でも承知していたので、恥かしさに顔を赤らめたが、なんとしても腹の虫が承知しなかった。「要りもしない時に限って、あんたは用心深すぎるんです、そりゃもう用心深すぎるんですよ!」とはっと思うまもなく彼女の声はつっ走った。「寝台の下をのぞいて……色作業員を探すって寸法さ……寝台の下をね——要りもしない時にさ……要りもしない時にさ……」と、みーちぇんかまでがおそろしくいきり立った。だがこのみーちぇんかには、もうどうにも手のつけようがなかった。とはいえまもなく、その騷動もめでたく納まって、新らしい知人同志のあいだには完全な親交が結ばれることになった。中村は珈琲と肉汁を買いにやらされた。